「老後、大丈夫かな」
「借金返しながら、子どもの学費って払えるのかな」
「NISAやったほうがいいって聞くけど、返済もあるしな……」
40代も後半になると、この手の不安が頭の中を、ぐるぐる回りませんか。僕はずっと回っていました。
そして気づいたんです。この不安、何年たっても一度も「数字」にしたことがないと。
この記事は、借金800万円からの立て直し中の49歳会社員が、人生で初めて「ライフプランシート」を作ってみた体験談です。作ったのはFP事務所ではなく、自宅のパソコン。相棒はAI(Claude)でした。
結論から言うと——漠然とした不安は、数字にすると「対策できる問題」に変わります。そして、見えてはいけない未来(=このままだと現金が尽きる年)まで見えました。それでも、作ってよかった。順番に話します。
ライフプランシートとは? ざっくり言うと「家計の20年天気予報」
ライフプランシートは、これから先の収入・支出・貯蓄・ライフイベント(学費、車の買い替え、退職……)を年表形式で並べて、「◯年後にお金がいくら残っているか」を見える化する表のことです。
FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると作ってくれるアレですが、実は自分でも作れます。僕は49歳から69歳までの20年分を作りました。
作る前の僕:不安は全部「なんとなく」だった
作る前の僕の家計認識は、こんなレベルでした。
- 借金→「けっこうある。早く返したい」(何年で終わるかは計算したことがない)
- 学費→「そのうち大きいのが来る」(いつ、いくらかは見ていない)
- 老後→「たぶん足りない」(いくら足りないのかは知らない)
全部「なんとなく」。そして、なんとなくの不安がいちばん精神に悪い。夜中にふと不安になるくせに、翌朝には忘れて、また数ヶ月後に不安になる。この無限ループを何年もやっていました。
AIと一緒に作る——やったことは「話しただけ」
「よし作ろう」と思っても、Excelで20年分の表を組むのは正直しんどい。そこでAIです。やったことは、ほぼ会話だけでした。
- 前提を話す:家族構成、収入、生活費のだいたいの額、借金の残高と金利、子どもの進学予定、車の買い替え——思いつくまま伝える
- AIが20年分のExcelを組んでくれる:収入・支出・返済・資産のシートが数式でつながっていて、前提を変えると全部が自動で再計算される
- 「わからない数字」は仮置き:確定していない数字は黄色セルにしておいて、あとで実際の数字に差し替えるルールに
ポイントは、最初から正確に作ろうとしないこと。仮の数字でいいからまず20年並べる。精度はあとから上げればいい。完璧主義で止まるのが一番もったいないです。
見えた未来①:「返済とNISA、どっちが先か」に決着がついた
作ってみて最初に決着がついたのが、長年モヤモヤしていたこの問題でした。
「借金を返しながらNISAも積み立てる」vs「まず返済に全力」——どっちが正解?
シートで両方のシナリオを並べて比較したら、答えは一瞬でした。僕の借金はリボ払いを含む高金利(年8〜15%)。NISAの期待リターン(年4〜5%)を大きく上回ります。利率15%の借金を抱えたまま利率5%の投資をするのは、数字の上では損の確定でした。
というわけで我が家は「完済までNISA新規積立は一時停止 → 完済後に月額を増やして再開」という方針に決定。シナリオ比較ができると、こういう判断が「気分」ではなく「数字」でできます。
※金利の低い借金(住宅ローン等)の場合は結論が変わります。ここは人それぞれなので、自分の金利で比べてみてください。
見えた未来②:数年後に「学費の崖」が待っていた
次に見えたのが、怖いやつでした。
子どもの進学が重なる年、現金残高が一気に落ち込む「崖」がグラフにくっきり出たんです。何もしなければ、その年の現金は危険水域。正直、見た瞬間は胃が縮みました。
でも、ここが大事なところで——崖は「見えた瞬間から、対策できる問題」に変わります。
- 崖の年が事前にわかった → その前年までにいくら現金を厚くすればいいか逆算できる
- 車の買い替えなど動かせる支出は、崖の年を避けてずらす
- 使える制度(給付型奨学金、多子世帯の授業料減免など)を今のうちから調べておく
「なんとなく不安」だったときは対策ゼロでした。数字になった瞬間、やることリストに変わった。これがライフプランシート最大の効能だと思います。
見えた未来③:節約より効くレバーがあった
シートの前提をいろいろ動かして遊んでいると(感応度分析というらしい)、面白いことがわかりました。
- 生活費を月1万円削る → 未来はちょっと良くなる
- 副業収入の成長を2年前倒しする → 未来がガラッと変わる
節約はもちろん大事です。でも僕の場合、家計の未来を一番大きく動かすレバーは「支出を削る」より「収入の柱を増やす」でした。このブログを含む副業に本腰を入れる決心がついたのは、正直この試算のおかげです。
どのレバーが効くかは家計によって違います。だからこそ、自分のシートで確かめる価値があります。
※ちなみに副業を始めるなら、収支の記録だけは最初からマネーフォワード クラウドのような会計サービスに任せておくのがおすすめです。確定申告の時期に泣かないために。
【追記】「想定外」は、本当に来る
実はこの記事、病室のベッドで仕上げています。
シートを作ってから1ヶ月もしないうちに、健康診断で糖尿病が発覚して緊急入院になりました(この顛末は別記事に書きました)。医療費という「想定外の支出」が、シートを作った翌月に現実になったわけです。
でも、ここでもシートに助けられました。高額療養費制度や健康保険の給付金を調べて入院費を試算したら「実質数万円で収まる」とわかり、お金の心配をせずに治療に専念できています。ライフプランは「予定通りに進むためのもの」ではなく、「想定外が来たときに、どこまで耐えられるか知っておくためのもの」なんだと、身をもって学びました。
これからシートに「医療費・健康リスク」の行を足すつもりです。40代でライフプランを作るなら、健康の想定外はセットで考えることをおすすめします。
作ってみてわかった、注意点3つ
- AIの数字は必ず自分で検算する:AIは計算の枠組み作りは得意ですが、税金や社会保険料の細部は概算です。大事な判断の前は公的サイトや専門家で裏取りを
- 一度作って終わりにしない:ボーナスが確定したら、前提が変わったら更新。「生きた表」にしてこそ価値があります
- 家族と共有する:数字を見ながらだと、お金の話が感情論にならない。我が家はこれが一番の副産物でした
そして、シートを作った上でFPに相談すると、相談の質が段違いになります。「なんとなく不安で……」ではなく「この年の現金の落ち込みにどう備えるべきか」と聞けるからです。無料相談を使うにしても、丸腰で行くより武器を持って行くほうが得です。
まとめ:不安の正体は「見ていないこと」だった
ライフプランシートを作って一番変わったのは、家計ではなくメンタルでした。
見えていない崖は、いつ落ちるかわからないから怖い。見えている崖は、手前で橋をかければいい。40代後半、借金持ち、これから学費のピーク——条件は正直厳しいけれど、「何をすればいいか」が全部リスト化された今、夜中にぐるぐる悩むことはなくなりました。
Excelが苦手でも大丈夫。AIに話すだけで叩き台はできます。まずは仮の数字で、20年分を並べてみてください。
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