10日間の入院をしました。窓口で払った金額は284,794円。それなりの金額です。
でも、このうち約27万円が戻ってくることが後から分かりました。
きっかけは、加入している健康保険の給付案内で見つけた「一部負担払戻金」という聞き慣れない言葉。調べてみると、これは付加給付と呼ばれる仕組みの一種でした。
入院費用の全体像はこちらで公開しています → 【請求書公開】医療保険なしで10日間入院。49歳が実際に払った284,794円の内訳
付加給付とは何か
日本の公的医療保険には、誰でも使える「高額療養費制度」があります。ひと月の医療費の自己負担に上限を設ける制度で、これは全員共通です。
付加給付は、その上にさらに乗る「独自の上乗せ給付」のこと。高額療養費で決まった自己負担額から、さらに一定額(2〜3万円程度)を差し引いた分が、後日戻ってきます。つまり二階建てです。
- 1階:高額療養費(法定給付・全員共通)
- 2階:付加給付(加入している保険が独自にやっている場合のみ)
重要なのは、2階部分があるかどうかは、加入している健康保険によって完全に違うという点です。
私は土建国保でした。同じ仕組みがありました
私が加入しているのは東京土建国民健康保険組合、いわゆる土建国保です。正確には「付加給付」ではなく「一部負担払戻金」という制度ですが、中身はほぼ同じでした。
レセプト(診療報酬明細)1枚ごとに、自己負担のうち17,500円を超えた分が戻ってくる。しかも、差し引かれた17,500円のほうも「どけん共済」という別の共済から「国保入院共済金」として戻ってきます。
さらに、入院日額の給付もありました。
- 土建国保の疾病入院給付金:私の種別で日額4,400円
- 組合総合共済(傷病見舞金):日額1,500〜6,000円(掛金の型による。私の場合は6,000円の見込み)
実際の計算(私のケース・申請中の見込み額)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 保険診療分の自己負担 | 168,194円 |
| 食事療養費 | 14,300円 |
| 保険外負担(差額ベッド代など) | 102,300円 |
| 窓口で支払った合計 | 284,794円 |
| 戻ってくる見込み | 金額 |
|---|---|
| 一部負担払戻金(168,194円 − 17,500円) | 150,694円 |
| どけん共済 国保入院共済金 | 17,500円 |
| 入院日額(4,400円+6,000円)× 10日 | 104,000円 |
| 戻り合計(見込み) | 272,194円 |
💰 実質負担:約12,600円の見込み(10日間の入院で)。※給付は現在申請中です。日数のカウント方法や共済の型により金額が前後する可能性があるため、支給が確定したらこの記事を更新します。
協会けんぽだったら、いくら戻ったか
ここが一番伝えたいところです。もし私が協会けんぽ(中小企業の会社員が入る一般的な健康保険)に加入していたら、追加で戻ってくるお金はゼロでした。
協会けんぽの給付は法定給付のみで、健保組合のような付加給付はありません。高額療養費は窓口ですでに適用されているので、そこから先の払い戻しがないのです。
同じ入院、同じ請求書。それでも手元に残る差は約27万円です。
付加給付がある保険、ない保険
付加給付がある可能性が高い
大企業の健康保険組合
窓口で払った額から一定額(25,000円前後の組合が多い)を差し引いた分が、後日自動で振り込まれるところが多いです。申請不要・自動計算のケースがほとんどで、受診月の約3か月後に支給されます。※控除額や有無は組合によって異なります。
公務員・私学の共済組合
レセプト1件ごと(同じ病院でも入院・外来、医科・歯科・調剤は別計算)に25,000円を控除した額が「一部負担金払戻金」として支給されます(共済組合では標準報酬月額53万円以上の場合、控除額50,000円とする取り扱いが一般的)。
国保組合
土建国保のような建設系のほか、医師国保、歯科医師国保、文芸美術国保など。組合ごとに内容は大きく異なります。
付加給付がない
協会けんぽ(中小企業の会社員)と市区町村の国民健康保険(自営業・フリーランスなど)は、高額療養費のみです。
確認方法(3分でできます)
保険証(またはマイナポータル)で保険者の名称を確認し、その保険者のサイトで「付加給付」「一部負担還元金」「一部負担金払戻金」で検索してください。
2026年8月から高額療養費の上限は上がりました
もうひとつ、知っておきたい最新の動きがあります。高額療養費の自己負担限度額は、2026年8月から引き上げが始まりました(全所得区分で引き上げ・長期療養者向けの「多数回該当」は据え置き・年間上限の新設)。2027年8月には所得区分の細分化も予定されています。
1階(高額療養費)の天井が上がっていくからこそ、2階(付加給付)の有無が家計に効く時代になった——私はそう受け止めています。
で、医療保険はいらないのか
ここまで読むと「民間の医療保険なんていらないのでは」と思うかもしれません。実際、付加給付が手厚い保険に入っている人ほど、医療保険の必要性は下がります。差額ベッド代のような保険外の費用も、私の場合は入院日額の給付がほぼカバーしてくれました。
ただ、判断する前に押さえておきたい点が4つあります。
1. 転職・退職したら消える
付加給付は加入している保険の制度です。会社を辞めて協会けんぽや市区町村の国保に移った瞬間、この手厚さは無くなります。私も土建国保を抜けたら終わりです。
2. 制度は変わりうる
高額療養費の引き上げは現に始まりました。付加給付も、健保組合の財政悪化を理由に縮小・廃止する例が出ています。「今そうだから将来もそう」とは限りません。
3. 長期の休業には所得補償が別途必要
入院費が戻ってきても、働けない期間の収入は別問題です。会社員の健康保険には傷病手当金(休業4日目から標準報酬日額の約2/3、支給開始から通算1年6か月)がありますが、国保組合では任意給付で、無いか手薄なところが多い。私の場合、ここは弱点です。
4. 保険料は高い
国保組合の保険料は労使折半ではなく、扶養家族も一人ずつ保険料がかかります。毎月コツコツ多く払っていた分が、入院で一気に返ってきただけとも言えます。タダで手厚いわけではありません。
まとめ:保険の見直しの前に「公的保障の棚卸し」
- 保険者名を確認する
- 「付加給付」の有無と控除額を調べる
- 傷病手当金の有無を調べる
- その上で足りない部分だけを民間保険で埋める
私は入院して初めてこの制度を知りました。知らないまま医療保険に入っていたら、二重に払っていたことになります。3分の確認で、月々の保険料が変わるかもしれません。
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※制度の内容は加入先や時期により異なります。金額・条件は必ずご自身の保険者にご確認ください。本記事は個人の体験に基づくもので、特定の保険商品の加入・解約を勧めるものではありません。









